2019-02-08

くまりはN!S!T②

入院中に多職種で行う栄養管理:栄養サポートチーム
 
(Nutrition Support Team, NST)

熊本リハビリテーション病院 リハビリテーション科/栄養管理部
吉村芳弘 


連載第2回目です。今回は実際にNSTが介入した症例をご紹介します。
NSTケース [1]
83歳、男性. 主病名:肺炎。現病歴:2型糖尿病治療で何度か入退院歴のある患者。数日来の発熱と倦怠感、食事の際のムセを主訴に外来受診された。経口摂取は可能で、歩行は短距離なら独歩で可能である。認知レベルの低下はなく、主治医や管理栄養士からの食事指導を長く守ってきた。外来でのレントゲンとCTで右肺炎を指摘され加療目的に入院となった。併存疾患:2型糖尿病(内服加療中)、慢性腎臓病。発熱なく、バイタルサイン安定。身長166cm、体重44kg、BMI 16.0 kg/m2、体重減少率18.5%(8週間)。検査所見:白血球数14700、リンパ球数980、Hb 9.1g/dL、Alb 2.5 g/dL、CRP 8.1mg/dL。

患者は肺炎で入院した高齢者です。以前より低体重があり、最近の体重減少を認めます。この時点で重度の低栄養があると診断すべきです。急性炎症(白血球増多とCRP値上昇)も認めます。併存疾患として2型糖尿病と慢性腎臓病があります。血糖コントロールとして食事制限(エネルギー制限)、慢性腎臓病の増悪防止として蛋白質制限、を長期にわたり頑張られた(強いられた?)可能性があります。医師は肺炎治療と同時に併存疾患のマネジメントを行います。管理栄養士は栄養メニューを再考します。高齢者では厳格な食事制限は体重減少やサルコペニアの原因となりえます。看護師による食事の摂食状況や消化器症状の有無、排泄の情報は有用です。活動性を観察して、臥床傾向でないかも注意します。早期に理学療法士や作業療法士が評価を行い、遅滞なくリハを開始します。歯科衛生士による嚥下障害や口腔衛生状態のチェックは必須です。義歯はありますか?歯科治療が必要であれば歯科医師の出番です。言語聴覚士の詳細な嚥下評価と嚥下訓練は入院直後から始まります。不要な禁食は避けるべきです。不適切な薬剤や多剤内服はないでしょうか。薬剤師の腕の見せ所です。異常値を示す採血データはないか、臨床検査技師が目を光らせます。社会福祉士は低栄養の原因となる生活環境に注意します。
 本症例に対しては充分なエネルギー蛋白を補充する必要があります。また、同時にリハ職を含めた多職種の評価と介入を行います。初期の栄養管理としては、嚥下レベルに合わせたゼリーなどの食事を提供しつつ、経口摂取で不足する栄養は8Fr程度の細径の経鼻胃管を利用した経管栄養、もしくは糖質やアミノ酸、脂質を含有した末梢静脈栄養を併用して補うとよいと思います。
 こう考えると、やはり栄養管理は医師だけは手に負えません。各領域のプロがチームで栄養管理を行うことがいかに重要かわかります。低栄養は入院高齢者の予後を悪化させます。入院中に多職種で行う栄養療法は医療の土台であるべきなのです。




引用文献・参考文献
[1] 吉村芳弘. 高齢者の低栄養と入院中に多職種で行う栄養療法. レジデントノート. 2018年11月号 Vol.20 No.12


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